最近ドラマやニュースなどを見ると
「俳優の〇〇さん」「女優の〇〇さん」と紹介がありますが、ふと気になったことがあります。
確かに、女性でも「俳優」と紹介される場合があって、イマイチ何が違うのかわかりませんよね。
今日はそんな「女優」と「俳優」の違いについて書いていきますね。
俳優と女優の違いって何?
俳優と女優の違い。
疑問に思っている人も多くいます。
むかーしから思ってたんだけど、「女優」と「俳優」の違いって何?
自分の中では「女優=女性、俳優=男性」というのが物凄く強かったんですけど…— 猫ネッコ (@sportsandanime) September 27, 2020
女優って言う時と俳優って言う時の違いは何なのさ
— 復活のゆきち(仮) (@yukiti584) September 27, 2020
実際にはどんな意味があるのでしょうか。
本来の意味
それでは、俳優と女優の本来の意味について書いていきますね。
「俳優」:演劇・映画などに出演することを業とする人。役者。
この意味は私たちの中でも周知されているのではないでしょうか。
俳優業、と言われると、「ドラマや映画などに出て演技をする人」という意味に受け止められますよね。
それでは「女優」の意味はどんな意味なのでしょうか。
女優:女性の俳優
なるほど。という感じなのでしょうね。
ちなみに女優の反対言葉は
「男優」
という言葉になりますね。
男優という言葉には「男性の俳優」という意味が込められていますが、あまり使われることはありませんね。
「女優」という言葉に関しては良く使われるので、「女性」の俳優さんは「俳優」と言わずに「女優」という方がスタンダードになったのでしょうね。
「俳優」は職業
それでは、「俳優」と「女優」はどこが違うのでしょうか。
まず、「俳優」という言葉は、その人を指すのではなく、「職業」をさします。
そのため、「俳優の〇〇」という言い方をするのです。
そして「俳優」という言葉は男女関係なく使うことができます。
女優と俳優を分けなくても、俳優という言葉そのものが職業をあらわすものなので、女性に使ってはいけない、ということではないんですね。
「どういった仕事をしているか」という事を一言で表す意味として「俳優」が使われているだけということなんです。
女優は女性限定
ただ、女性で俳優の人の場合は、「女優」という言葉が良く使われます。
それは「女優」と聞けばすぐに「女性」という事がわかるからだと言われています。
男性も「男優」という言葉がありますが、あえてその言葉を使わないのは、「男優」というよりも「俳優」という言葉の方一つで、「男性の俳優」だという事が理解できるからです。
それと同じで「女優」という言葉一つで、「女性の俳優」ということがわかります。
本来は同じ仕事である「俳優」を指すのですが、「女優」という言葉ですぐに女性がイメージできるので、世の中で便利と感じられて使われるようになったのでしょう。
古来俳優は男性だけだった
今でも「俳優」と聞くと男性のイメージがありますよね。
それはなぜかというと、日本の歴史が関係しています。
日本は歌舞伎の創始者が女性の出雲阿国と言われていますが、江戸時代初期までは女性もお芝居に出演していました。
しかしその後寛永の時代(1624年~1643年)には「遊女歌舞伎が禁止」されてしまったんです。
なぜならばお芝居では食べていけない劇団の女性が「色」を売り出してしまい、風紀が乱れてしまったんです。
そのため、寛永6年には女性が芝居に出る事が禁止され、そこからは人前で演舞などができなくなってしまいました。
そのため、男性が女形として女性の役を演じるようになったと言います。
そしてその歴史は明治に入ってもしばらく続いたそうです。
俳優という言葉のイメージは歴史が作ったものだったんですね。
俳優の言葉の意味
実は「俳優」という言葉には驚きの意味があります。
俳優と書いて「わざおぎ」と読む
俳優は古来、「わざおぎ」と今とは違う読み方で呼ばれていました。
俳・・わざ
優・・おぎ
「優」という言葉は、もともとは「俳優」の意味である
芝居を職業とする人
という意味があります。
その後別の意味である「やさしい」という現代では一般的な意味が正しい意味となってしまいました。
また、俳優の「俳」の文字にも
「役者・芸人」
という意味の他にも
「おどけ・戯れ」
という意味があります。
言葉両方に同じ意味がある
つまりこの言葉には、「俳」にも「優」にも
「わざおぎ(面白い事をして、歌い舞い、神や人を楽しませる事)」という意味が込められているんですね。
古来からあった神や人の憂いを慰めて、周りの人とは違う面白い事をして人々を楽しませる、という事を仕事とする人のことを指すのですね。
「俳優」と書かなければその意味にならない、と思ったので目からうろこでした。
どちらの漢字にも、同じような意味がこめられていたんですね。
俳優と女優の言葉の由来
俳優と女優という言葉。
その言葉たちには、どんな由来があったのでしょうか。
「俳優」という言葉は古事記や日本書紀に載っている
「俳優」という言葉自体は、古事記や日本書紀の文章につづられています。
天岩戸の伝承について、アメノウズメが巧みに踊る様子が描かれていますが、その様子を「巧作俳優」(たくみにわぎおろす)と書いているんですね。
そこまで古い書記に残っているなんて驚きですね。
さらに平安時代の書物にも「俳優」という言葉が使われています。
人間は昔から八百万の神々を信じ、そして神々が喜ぶような供物をはじめ、舞や歌で楽しませることが多くありました。
また、時代が進むにつれ、人々も喜びの時などに舞を踊ったり、元気がない時は歌を歌って慰めたりすることがあったようです。
明治時代に誕生したのが「女優」
「女優」という言葉は明治時代から使われだした言葉だと言われています。
俳優という仕事は男性のみが就いていたのですが、文明開化などの影響で、女性も俳優という仕事に就くようになります。
そういった時代の流れの中で「俳優」という言葉は男性よりであり、女性の俳優を一言で表せるようにするために「女性の俳優=女優」という言葉が生まれたのではないでしょうか。
女優という言葉が使われた古い文献の代表例は、
森鴎外氏の「舞姫」や有島武郎氏の「或る女」に、「女優」という言葉で女性の俳優が紹介されています。
「女役者」という言葉で表現されていたこともありましたが、「女優」の言葉の方が人々には受け入れられたのでしょうね。
その後は「女優」という言葉が浸透し、人々の間でよく使われるようになったことや、女優さん本人が自分を「女優」として紹介するように要望をするようになったことで、より人々の生活の中に浸透していったのでしょうね。
性別を区別するために「女優」が生まれた
また、女性の俳優が増えてきた中で、男性の俳優という意味や印象を持つ「俳優」特別するために「女優」という言葉が生まれた、という説もあります。
時代が進むにつれ、男性だけではなく女性の俳優になる人も増えてきたため、「俳優」という言葉だけでは男性や女性という事がわからなくなったのです。
そのため、一言で「女性の俳優」とわかるように「女優」という言葉が生まれたということなんですね。
時代の流れに合わせて女性が世の中に進出してきた証として生まれたであろう「女優」という言葉。
歴史の流れを感じますね。
おわりに
今日は「俳優」と「女優」の言葉の違いについて書いてみました。
こう書いて見ると、言葉って本当に奥が深いなあ・・・と思いますね。
そしていかに歴史や印象にイメージを支配されているかがわかりますね。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!