毎日生きている中、ふと、当たり前のように言っていた事に「疑問」があります。
それは「運命」という言葉。
色々な場面にて、「それが運命だよ」「これって運命?」なんて言葉を使うこともあります。
また、子どもから「運命ってどういう意味?」と聞かれて、言葉につまったことはありませんか?
一体、運命とは、どういう意味なのでしょうか?
「感覚ではわかってるけど意味を聞かれるとわからない…」という人が多いのではないかと思います。
今回は「運命」の意味を子どもにもわかるよう、説明や解釈、方法の一つをまとめました。
運命の意味や由来について
まず、一般的に「運命」とはどんな意味なのか、そしてその由来は何なのかについて解説します。
運命の意味について
「運命」という言葉は、辞書には次のように書かれています。
1 人間の意志を超越して人に幸、不幸を与える力。また、その力によってめぐってくる幸、不幸のめぐりあわせ。運。
2 将来の成り行き。今後どのようになるかということ。
とあります。
①の意味であれば「運命のなせる業」や「運命をたどる」といった、人生に関わるものとして扱われます。
そして②に関しては、「国家の運命」と使われるように、不確定なこれからの未来を予期していく言葉として使われることが多いです。
歴史を勉強していくと、古代から運命を占う占星術師や、運命を操ろうとした王族などの存在も出てきます。
「運命」という言葉は、昔から色々な場面や状況で使われることが多かった、というわけですね。
意味合いは違えど、何千年も昔から「運命」という言葉を信じる人は多くいたため、現代になっても使われることが多いのではないでしょうか。
ちなみに同じ意味で「命運」とも呼ばれていました。
また、「運」というものは「運ぶ」という意味あいよりも「めぐり合わせ」という意味でつかわれることが多くありました。
「命をめぐるもの」という意味あいもあるのかもしれませんね。
では、運命とはどこから生まれたのでしょうか。
運命という言葉の由来について
運命という言葉は、どこから生まれたのかも気になりますね。
運命というのは「コトバ」ではなく「考え方」「概念」として誕生したと言われています。
ラテン語では運命は「ファトゥム(fatum)」と表記されますが、そのもとの意味は「言われたこと」を意味します。
これは、古代に予言者から言われたことは必ず正しく、起こるものである、という魔力や信仰に基づいていたものと考えられます。
その概念を発展させて今に伝えるのはギリシア人からと言われているように、「運命」という言葉はかなり古くからあった言葉なんですね。
「命」という言葉には「一番大切なもの」という意味があるように、人間が自分にふりかかる事で納得ができないものを、「自分にとっては必要なものだった」と意味づけるためにつけられたのかもしれませんね。
子どもにもわかりやすく解説する方法
もし子どもに「運命って何?」と尋ねられたら、あなたはどう答えますか?
意外と、どう説明したら分かりやすいか悩む人もいるのではないでしょうか。
今は、インターネットの普及で子どもでも難しい言葉に触れる機会の多い時代です。
子どもが「運命」の意味を尋ねて来た時、年代別にどう説明すると分かりやすいか解説してみます。
幼児への説明
まずは5歳~6歳くらいまでの子どもが運命の意味を尋ねて来た時です。
子どもが体験しているであろう事で、分かりやすいたとえを使って話をしてあげましょう。
例えば、
「幼稚園でお友だちと一緒のクラスになってびっくりした事とか、あなたがよそのおうちじゃなく、お父さんとお母さんのところに生まれてきたことを運命っていうんだよ」
といったように、「何か他の大きな力が加わって、今の状況になっているんだよ」という事を伝えてみましょう。
または、「あなたが生まれてから、おじいちゃんになるまでに起きることで決まっていることがあるの。それを運命って言って、どんなことが起こるかは神様(仏様・天使さん)が知っているんだよ。」
と、未知である運命は神様的な存在が決めるくらい、不確かで不思議であることを説明してはどうでしょうか。
#Qrzone
健)誰かと誰かが出会う前に誰かと誰かが出逢ったらその誰かと誰かは出会わないわけだから面白いよね。急がないといけないかもしれないし、急がない方がいいかもしれないしめちゃくちゃ深い、、一日出会うタイミングがずれても運命が大きく変わったり、たしかにするなぁ〜
— のんみつ (@7sato73) March 9, 2021
小学校低学年
7歳~9歳くらいの年齢は、学校で漢字をならったり、集団での体験や、様々な物語や概念を勉強する過程です。
その中で当然、「運命」という言葉をよく聞くものの、ハッキリとした意味がわからない・・・という場合もあります。
ただ、「運」や「命」という言葉の意味や概念も分かってきて、
「自分ではどうにもならないことが起こるんだ」
「ラッキーなこと、アンラッキーなことがあるんだ」
ということも何となく学びます。
そんな低学年の子どもさんには、漢字から教えてあげるのも方法の一つです。
「運ぶ命」と書いて運命。
「運」も「命」も小学三年生程度で習う漢字です。
「あなたが運がいいできごととか、運が悪い出来事とかを、見えない何かが命じて決めている時があるんだよ。だから、逆にどうにもならない時もあるかもしれないの。でも、それが運命ということなんだよ。」
と言った感じで、自身の思い当たる事と含めて解説してあげるとわかりやすいですね。
もう少し簡単にするとしたら、
「運ぶ命と書いて運命だから、あなたとお母さんが出会ったのは、それぞれの命が同じ時間に運ばれてきてたまたま起こったこと。大事な出来事は命が運んでくれる。
それが運命という言葉の意味なんだよ。」
という感じでしょう。
それを運命と言ってしまうのは
あまりにも酷だけど
大丈夫どんなことにも着地点はあります
過ぎてしまえばどんなことも
落ち着くところに落ち着きます pic.twitter.com/mBNl5DSbtk— bizen (@bizen56385) March 6, 2021
たとえ話をするとわかりやすいのではないでしょうか。
小学校高学年以上
高学年に入ると、低学年に説明した漢字の意味の説明にプラスした説明が考えられます。
複雑な思考が出来るようになってくる10歳~12歳の高学年。
運命は変えられないものですが、運命を決めるものはあるというパラドックス。
つまり矛盾点を体験的に理解してきているかもしれません。
「運命っていうのはあらかじめ決まっていることを指すよ。ただ、運とか、命の運ばれ方で決まっていくことが多いけれど、そのタイミングとか、運命の細かいところを決めるのは周りの出来事や、自分の行動しだいだよ。」
と説明してはどうでしょうか。
天才と呼ばれる人たちを調べてみると、ピアノでも将棋でも、それに費やしている時間が最低でも1万時間はあるんです。1日3時間として10年間。5歳から何かをやったとして15歳までそれを続けて、それである種のプロフェッショナルになる。つまり環境が運命を決めているんです。
— 生物学者 福岡伸一教授_bot (@s_fukuoka_bot) March 9, 2021
運命だからどうにもならないと悲観させすぎないのが大事です。
自分の運命を前向きに拓いていこうという希望が持てるのではないでしょうか。
ゲームの解説の人がさ、
偶然は必然だっていってて、
その言葉がずーっと頭の中にいるんだよね。
偶然だと思ってたことは必ずそう起こるって決まってたって訳でしょ?
ってことは
偶然は必然で必然は運命ってことだなって話。
素敵じゃない?
おやすみなさい。— さ (@ClmABPagYYr26A2) March 3, 2021
宿命との違いについても
「運命」という言葉と同じくらい、よく目にするのが「宿命」という言葉。
「運命」と「宿命」はどこともなく似ていますよね。
では、「宿命」という言葉はどうでしょうか。
意味は運命とはあまり変わらず
ヒット曲のタイトルにも使われ、よく耳にするであろう「宿命」。
実は辞書的な意味は「運命」とあまり変わりません。
宿命という意味を調べると、次のような内容で出てきます。
前世から定まっている運命。避けることも変えることもできない運命的なもの。
ただ,運命というものは「変えられる」可能性がある一方で、「宿命」というものは変えることができないと言われています。
それでは意味として、子どもにはどう説明するとわかりやすいでしょうか。
宿命の説明方法
「宿命」という言葉は、幼児が見ているアニメや番組の中ではほぼ使われることはありません。
つまり、質問してくる年齢としては、低学年~中学年までの子どもがほとんどなのではないでしょうか。
おおよそ学校で習ったり、見ているアニメで出てきてふと疑問に思うことから質問してくると考えられます。
だったら、宿命を漢字の意味からなんとなく説明するのがよさそうです。
「宿命は宿る命、宿る命令って書くよ。宿るっていうのはその中に入っているってことだから、自分の中に生まれる前から入っている命令の事を言うよ。」
「例えば、来年何歳になるっていうのは宿命だし、花は枯れちゃう、雪がとけちゃうっていうのも変えられない。
私たちの力では変えられないものを宿命というんだよ。」
と言った感じで解説するといいですね。
運命との違いとは
「運命」と「宿命」
似ているようで違うこの言葉の意味は、考えれば考えるほど意味が分からなくなることが多いです。
低学年程度の子どもなら、「運命と似てるものだけど、運命よりちょっと強く決まってる運命が宿命ってことかな。」ぐらいにとどめたほうが混乱がなさそうです。
高学年以上だと、英語を勉強し始めるので、運命との違いを英語の意味の違いから説明するのも切り口としてはアリですね。
運命は英語でdestiniy、宿命はfateって訳されます。
どちらかというと「destiny」の運命の方が前向きな意味での、運がいい悪い程度の運命を指していることが多いです。
宿命という意味あいの「fate」は「変えられないもの」という意味あいが強く、運命と比べてもどちらかというと、本人にとってはあまりよくない悪い運命という違いではないでしょうか。
漫画などを例に出すとわかりやすい
ちなみに「運命」「宿命」を捉えながら、文章で説明しようとすると難しいこともあります。
という時には漫画などでそういったシーンを出して説明するのもおすすめです。
少しでも前向きに人生を拓こうとする話を例に出すと
「ジョジョの奇妙な冒険第五部」のマンガに「人間は、運命に抗う眠れる奴隷」というたとえがあります。
少し難しいですがマンガ好きな子どもにはこの話と例えを出すのも面白いです。
運命の奴隷の解釈ではこれが一番好き(以下知恵袋より引用)
この第5部「黄金の風」を描く時にぼくは考えました。では、「生まれて来た事自体が悲しい」場合、その人物はどうすればいいのだろうか?人は生まれる場所を選べません。
— TKの筋トレ垢 (@TK_muscle_) May 1, 2020
くれた過程のおかげでディアボロを倒すことが出来ました。これこそ運命に抗おうとする『眠れる奴隷』なんです。
最初から目覚めることない奴隷はただずっと運命に従うのみだが、眠れる奴隷はいつか覚めることがある。覚めようとする、運命に抗う奴隷なんです。
まさしく5部の主人公たちのことを指して— TKの筋トレ垢 (@TK_muscle_) May 1, 2020
お子さんが読んでいる漫画などを例に出して説明してみると、案外スッと子どもの中に内容が入っていくことがありますので、わからない場合は一度試してみて下さいね!
おわりに
今日は「運命」の意味や「宿命」との違いについて書いてみました。
子どもは私たちが思う以上に複雑なことを理解しよう、考えようとしています。
完璧な答えはしなくてもいいと思いますが、一緒に辞書を引いたり、またはこのまとめの例文を参考にして、子どもに伝わりやすく一緒に考えられるといいですね。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!